
はじめに
「最近、少し体重が増えたかな…」と感じたとき、気になるのは見た目だけではありません。実は体重の変化は、私たちの体を支える足の関節――特に膝関節や股関節に大きく関わっています。
本記事では「体重増加と関節の負担」の関係について、分かりやすくご紹介します。もちろん、今の体型がすぐに問題というわけではありません。ただ、将来の健康や痛み予防のために知っておくと安心できる内容です。
体重と関節の関係
人の体は「骨格」と「筋肉」で支えられています。その中でも膝や股関節は、体重を直接受け止める重要な関節です。
例えば膝の場合、歩くだけでも体重のおよそ2〜3倍の負荷がかかるといわれています。階段を上がるときには5〜6倍に跳ね上がることもあります。
つまり、体重が1kg増えると膝には2〜6kg分の負担が追加される計算です。ほんの数kgの体重変化でも、関節には大きな違いとして現れてしまうのです。
股関節や膝関節に起こりやすい問題
体重増加により関節に負担がかかると、次のような問題につながりやすくなります。
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膝の痛み(変形性膝関節症など)
軟骨の摩耗が進み、炎症や痛みを感じやすくなります。 -
股関節の違和感や痛み
骨盤を支える大きな関節であるため、体重増加の影響を強く受けやすいです。 -
歩行のしづらさや疲れやすさ
関節に負担がかかると動きが重く感じられ、活動量が減少し、さらに体重が増える…という悪循環に陥ることもあります。
「体重管理=痩せなければいけない」ではない
ここで大切なのは、「体重を減らさなければならない」という一方的な考えではありません。
現在の体型に関わらず、自分の関節を守るためにできる工夫をすることが大切です。
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体重を大幅に落とすことが難しい場合でも、1〜2kg減るだけで関節への負担は大きく軽減します。
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体重を変えなくても、筋肉を鍛えて関節を支える力を高めるだけで負担は軽くなります。
つまり「無理に痩せる」ではなく、「できる範囲で体と関節を守る」ことが目的なのです。
今日からできる予防の工夫
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食生活を少し工夫する
極端な食事制限ではなく、腹八分目を意識したり、間食を控えたりと小さな工夫から始めましょう。 -
筋肉を鍛える
膝や股関節の安定には太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリング)が欠かせません。
椅子からの立ち座り運動や軽いスクワットなど、日常動作の延長で行える運動が効果的です。 -
体を動かす習慣を持つ
毎日10分の散歩でも関節の動きをスムーズにし、体重管理にも役立ちます。 -
整体や専門家のサポートを活用する
自分に合った運動やケアを知ることで、無理なく続けることができます。
体重管理の本当の意味
体重を管理する目的は「見た目を良くするため」だけではありません。
それ以上に大切なのは、将来も元気に歩き続けるための“投資”だということです。
「今の自分を否定する」のではなく、
「これからの自分を大切にする」ために体重や生活習慣を見直す。
そんな前向きな考え方を持っていただければ十分です。
おわりに
膝や股関節の痛みは、ある日突然やってくるものではなく、少しずつ負担が積み重なって起こります。
だからこそ、早めに気づいて、小さな工夫を始めることが最大の予防になります。
「痩せなければ」と焦る必要はありません。
「今日から少しだけ体を動かす」「食事を見直してみる」――その一歩が未来の自分を守ります。
これからも皆さまが安心して歩き続けられるよう、当院では姿勢や動作の改善、関節を守るための運動療法をサポートしています。
一緒に“未来の足”を守っていきましょう。