
「病院でレントゲンを撮ったら、変形していると言われました」
「軟骨がすり減っているから、もうどうしようもないんですか?」
当院にもこうした不安の声が多く寄せられます。
確かに、レントゲンやMRIで「変形」や「すり減り」が見つかると、将来のことが心配になりますよね。
しかし、実はこの「変形=痛みの原因」という考え方には、誤解されがちな部分があるのです。
今日は、最新の医学的な知見をもとに、「関節の変形」と「痛み」の本当の関係について、わかりやすくお話ししたいと思います。
◆ 軟骨がすり減ると痛い?実はそうとは限りません
私たちの関節には、「軟骨」というクッション材のような組織があります。
軟骨があることで、骨と骨が直接こすれ合うことなく、スムーズに動くことができています。
では、軟骨がすり減ったら痛みが出るのでしょうか?
実は、軟骨そのものには神経が通っていません。
そのため、軟骨がすり減っても、それ自体が痛みを感じることはありません。
例えば、アメリカで行われた研究(Jensenら、1994)では、無症状の人の76%にMRI上で軟骨の変性や椎間板の異常が見られたという報告があります。
つまり、「画像で変形があるからといって、必ずしも痛みを感じるとは限らない」ということなのです。
◆ 痛みの本当の原因は「周囲の組織」や「使い方」
では、なぜ痛みが出る人と出ない人がいるのでしょうか?
それは、次のような周囲の組織の状態や体の使い方の違いが関係しています。
関節包や滑膜の炎症
関節を包む膜(関節包)や滑膜が炎症を起こすと、腫れや熱感、痛みが生じます。変形がなくても炎症だけで痛みが出ることもあります。
骨膜や靭帯のストレス
軟骨の下にある骨や靭帯には神経が通っており、負担がかかると痛みを感じやすくなります。
筋肉・筋膜の緊張やアンバランス
姿勢や歩き方のクセ、筋力低下などにより、関節周囲の筋肉が緊張し、痛みや動きの制限が生じることもあります。
脳・神経の過敏化(中枢性感作)
慢性的な痛みでは、脳や神経が過敏になり、「本来なら痛みを感じないような刺激」でも強い痛みを感じてしまうことがあります。
◆ 変形=痛みではない。希望を持てる研究データも
● 変形性膝関節症や股関節症の方でも、画像所見の進行と痛みの強さは一致しないという研究が多数あります。
● 軽度の変形でも強い痛みがある人もいれば、重度の変形でも痛みがほとんどない人もいます。
たとえば、2015年に発表された研究(Hunter DJ. et al)では、膝の変形の程度よりも、「身体機能」や「筋力」、「精神的ストレス」が痛みに関与しているということが示されました。
つまり、変形の有無よりも「どのように身体を使っているか」が痛みに大きく影響するということです。
◆ 整体・運動療法でできること
当院では、関節の変形があるからといって「もう改善しない」とは考えません。
大切なのは、今の身体に合った正しい動かし方やケアをすることです。
✅ 正しい姿勢と動作パターンを身につける
→ 関節への負担を軽減し、痛みの再発を防ぎます。
✅ 筋肉や筋膜の柔軟性・筋力を整える
→ 動きやすくなり、身体全体が安定します。
✅ 呼吸や自律神経の調整
→ 慢性的な痛みに影響する「脳の興奮状態」も整えていきます。
そして何より、
「もうダメかも…」と感じていた方が、身体が少しずつ動きやすくなっていくことが、心の安心感につながっていきます。
◆ まとめ:変形していても、痛みは変えられる
「変形しているから痛いんだ」と思い込んでしまうと、
どうしても気持ちが沈み、「我慢するしかない」とあきらめがちになります。
でも、
変形=痛みの直接原因ではないというのは、すでに多くの研究が示している事実です。
「変形していても、痛くない人がいる」
「変形があっても、正しく体を使えば改善できる」
そんな希望を持てる事実を、少しでも多くの方に知っていただけたら嬉しいです。
もし今、あなたがこんな不安を感じていたら…
✔ 病院で変形と言われて不安
✔ 年齢のせいだから仕方ないと思っている
✔ このまま動けなくなってしまうのではと心配
そんな方こそ、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの体には、まだまだ良くなる可能性が眠っています。
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https://www.ugoki-conditioning.jp/